7,188 views

曾野綾子さんの「老いの才覚」が話題を集めています。8章構成になっていて、第1章の

「なぜ老人は才覚を失ってしまったのか」

で、わが国最大の問題点を指摘し、第2章で

「老いの基本は『自立』と『自律』」

という結論を問題の解決策として述べています。3章以下は、その解決策に必要なノウハウで、

「第3章 人間は死ぬまで働かなくてはいけない
第4章 晩年になったら夫婦や親子との付き合い方も変える
第5章 一文無しになってもお金に困らない生き方
第6章 孤独と付き合い、人生をおもしろがるコツ
第7章 老い、病気、死と馴れ親しむ
第8章 神様の視点を持てば、人生と世界が理解できる」

となっています。

さて、本題に入る前に「老いの才覚」について定義しておきます。勝手な解釈ですが、ここからはすべてこの定義を前提に進めていきますのでご了承ください。で、「老いの才覚」とは

死ぬまで持ちつ持たれつの人生を全うするぞという意欲

としておきます。それでは、本題に入ります。

かつての日本人に曽野さんのいう「老いの才覚」があったのかというと、必要な才覚は日常生活の中で必然的に身についたと私は考えています。大家族で貧困、平均寿命が短かったことなどから、

多くの国民が死ぬ直前まで働いていた

からです。したがって、老人の多くが上記のノウハウはすでに実践していたか必要とする境遇になかったということになります。

かつて楽隠居は金持だけの特権でしたが、戦後の老人福祉がこの「楽隠居」を政策の柱に据えたのは大きな誤りでした。相互扶助があるからこそ、私たちは日本という同じ国で暮らしていけるのですが、65歳を一律扶助される側に立たせたことで、国自らが相互扶助を崩壊させてしまっています。支える側が減少する一方なのに支えられる側は急増する一方です。私たちは、65歳以上の老人を4人で1人支えていますが、数年後には3人で1人を、20年後には2人で1人を支えることになります。相互扶助をどう維持発展させていくのかという観点から曽野さんの提言をキーワードで拾い出すと、実に明確に答えが見えてきます。例えば、

「高齢者に与えられた権利は、放棄した方がいい
子供の世話になることを期待しない
一昔前まで、人は死ぬまで働くのが当たり前だった
日常生活の営みを人任せにしない
老人の愚痴は他人も自分もみじめにするだけでいい事は一つもない
冒険は老年の特権である
死に慣れ親しむ
病気も込みで人生という心構えを持つ」

などは、その好例です。つまり、

支えられる側に回らないだけでなく、積極的に支える側に参加し後世に人生を全うすることのすばらしさを教えよ

というひと言に尽きると思います。後世の国民を心配する余裕はないという方も、自分の人生を「良かった」で締めくくりたいのなら不可欠な才覚です。あなたはその才覚の必要性を日々の生活の中で痛感させられます。その痛みが強くなっていくのを日々耐えていくのか、軽減させていくのかはあなたの自由ですが、その苦痛はボケない限り耐えられないと覚悟したほうが賢明です。老人の自殺は今後も増加しますが、その理由はほとんどがこの苦痛に耐えられないからです。

自分の人生をどう設計し生きていくべきでしょうか?私たち全員に課せられた共通の課題です。一緒に考えてみませんか?

老いの才覚の価格情報

1

【中古】 老いの才覚 ベスト新書/曽野綾子【著】

【中古】 老いの才覚 ベスト新書/曽野綾子【著】
110 円 (税込)
評価 4
曽野綾子【著】販売会社/発売会社:ベストセラーズ発売年月日:2010/09/10JAN:9784584122952

1

楽天ウェブサービスセンター CS Shop

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA