2015年(平成27年)5月14日に行われた安倍総理の記者会見から、未来の日本が見えます。
ボケ防止のために、みなさんもぜひ見える未来を確認してはいかがでしょうか。子や孫の時代までは見通せないという方も、自分の今後くらいは見えるはずです。では、確認してみましょう。
その1 会見の目的
安倍総理は冒頭で、今回の会見の主旨を表明ではなく暗示しました。つまり、
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という憲法前文を引用せず
に、あえて
「不戦の誓いを将来にわたって守り続けていく。そして、国民の命と平和な暮らしを守り抜く」
と表明することで、
国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不戦の誓いを破ることもある
と暗に表明したのです。そして、この暗示を国民にも決意させるために
不戦の誓いを破る場合に備え平和安全法制を閣議決定
したと報告しているわけです。
その2 平和安全法制の必要性
総理は、安全法制の必要性をふたつ挙げています。ひとつは
自国のみでは国民の生命と財産を守れない
という現実であり、もうひとつは
国民の生命と財産は日々脅かされている
という現実です。必要性についての理由も会見で説明していますが、その真偽と必要性についてはご自分で判断されてください。
その3 不戦の誓いを破る必要性と集団的自衛権の必要性
総理は、
「外交を通じて平和を守る」
を鉄則としながらも、「同時に、万が一への備えも怠ってはなりません」と強調しています。その既存の手段として日米安保があるわけですが、「日本近海において米軍が攻撃される、そういった状況では、私たちにも危険が及びかねない。人ごとではなく、まさに私たち自身の危機であります。」との理由から、
「私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている。
そして、その
危機を排除するために他に適当な手段がない。
なおかつ
必要最小限の範囲を超えてはならない。
この3つの要件による厳格な歯止めを法律案の中にしっかりと定めました。さらに、国会の承認が必要となることは言うまでもありません。極めて限定的に
集団的自衛権を行使できることといたしました。」
と述べています。これらの真偽と必要性についてもご自分で判断されてください。
その4 「それでもなお、アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか」という不安
この不安について、安倍総理は
「日本が武力を行使するのは日本国民を守るため。これは日本とアメリカの共通認識」
と断言しています。しかし、この断言は、
守るべき日本国民がいなければ、攻撃されている米軍は見殺しにする
という意味ではありません。安倍総理は見殺しを明確に否定しているからです。したがって、この断言の問題点は、安保体制下で行使する集団的自衛権に
攻撃している米兵は助けないが、攻撃されている米兵は助ける。そのために必要ならば武力を行使する
が含まれるという点です。多くの場合、攻撃している米兵は同時に攻撃されている米兵ですから、
突然の戦闘状態で救援可能範囲にいる自衛隊がアメリカの戦闘に巻き込まれるのは避けられません。
その5 PKOの協力範囲を拡大した国際平和支援法の問題点
PKOにおける日本の実績は、国際的な信頼とさらなる寄与への期待拡大をもたらしました。この現実に対応すべく、安倍総理は「こうした素晴らしい実績と経験の上に、今回PKO協力法を改正し、新たに国際平和支援法を整備することといたしました。」と誇らしく述べておられますが、これにより、
国際貢献の幅が一層広がると同時に、自衛隊が戦闘状態に巻き込まれる危険も増大
していきます。国際平和支援法第11条で「武器の使用」を認めているのはそのためです。繰り返しになりますが、
攻撃されているPKO部隊はいかなる国であろうと助ける。そのために必要ならば武力を行使する
というのはPKOにおいては原則的な行動ですから、
突然の戦闘状態で救援可能範囲にいる自衛隊が戦闘に巻き込まれるのは避けられない
という覚悟が、今後は必要になります。
その6 戦後日本が平和を維持できた理由
この理由について、安倍総理は「それは、平和、平和とただ言葉を唱えるだけで実現したものではありません。自衛隊の創設、日米安保条約の改定、国際平和協力活動への参加、時代の変化に対応して、平和への願いを行動へと移してきた先人たちの努力の結果であると、私はそう確信しています。」と述べられています。つまり、
日本の平和は、攻撃者に対する抑止力の確保と平和な世界づくりに対する日本の貢献の賜物
というわけです。今回の会見は、
力なき正義を憲法に明記したはずの日本が、力ある正義を選択する多くの国の一員になった
と国際社会には映るでしょうから、この道を進むのであれば、
国民の犠牲も他国並み、つまり徴兵義務をどのタイミングで課していくか
が、私達の次の課題になります。戦後70年経って、沖縄でもようやく戦争体験者が重い口を開き始めましたが、そこから見える戦争に対する最善の対処法は、
戦争しかないというなら降伏して生命と財産を危険にさらす方が賢明だ
ということです。一国では国を守れない現実、銃を手にしない外交戦術と国際貢献の実績、そして玉砕お断りの国民性を前提にすれば、
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