我がオヤジ殿の延命治療
2016年3月14日(月)ホワイトデーのこの日に、オヤジ殿が入院している総合病院の主治医から、オヤジ殿にPEG(ペグ)をして延命治療をするか、やらないで老衰による自然死を待つかの決断を求められました。今年は入退院を繰り返す年になりそうだとの認識はありましたが、まさかこんなに早く延命治療の決断を迫られるとは想像もしませんでした。決断を迫られた席にオヤジ殿が入所している施設の責任者とケアマネージャーも同席していたので、関係者全員から貴重な助言を頂いたうえで、私は
大腸ガンのオヤジ殿には手術や治療に耐えられる体力が無いこと、現在入所している有料老人ホームが看取り介護に協力してくれることを理由に胃ろうはしないと決断
しました。私が即断できたのは、家族の意向を充分承知していたからではなく、
オヤジ殿なら間違いなく同じ決断をしただろうと確信できたから
です。
胃ろう(PEG:ペグ)とは?
PEG(=Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)とは、内視鏡を使って「胃から体外に小さな穴(=胃瘻:いろう)」を開ける手術(経皮内視鏡的胃瘻造設術)のことです。
口から食事のとれない方の胃に直接栄養を入れることで、健康を取り戻すまでの期間を短縮できる
メリットがあります。造られたおなかの口を「胃瘻(胃ろう)」といい、取り付けられた器具を「胃ろうカテーテル」(カテーテル=管やチューブ)といいます。
摂取障害が解消されるまでの一時的な療法だったPEGですが、今では認知や老衰で口からの摂取機能を失った高齢者の健康維持や延命治療としても行われる
ようになりました。このため、延命治療の選択を迫られる時には、必ず提起される選択肢になっています。
現役介護士が教える胃ろう介護について。食べることを絶対に諦めさせない。からの引用
延命治療とは?
延命治療の是非について、議論は活発になる一方ですが、ここにきても明確な定義はないようです。
死期の迫った患者に、人工呼吸器や心肺蘇生装置を着けたり、点滴で栄養補給をしたりなどして生命を維持するだけの治療が本来の意味だったようですが、現在では、認知や寝たきりの人の衰弱死を遅らせる治療も含まれる
ようになりました。したがって、
衰弱死を遅らせるだけの治療が延命治療
と定義できそうです。
延命治療をするしないの判断を迫られる場合とは
日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会が3者共同で行った救急・集中治療における終末期医療に関する提言(2014.4.29案)では、延命治療をするかしないかの判断が求められる場合を次の4つに限定しています。
1.いわゆる脳死状態
2.装着している生命維持装置が不可欠だが衰弱を止めることができない状態
3.現在の延命治療以外に手段は無いが衰弱を止められない状態
4.末期癌などで衰弱を止める手段がすでに無い状態
延命治療をするしないの決断時期
医師は、衰弱死を止められないと判断した時点で、可能であれば本人に延命治療をするかしないかの判断を求めてきます。容態が悪化していく度に、医師は再確認をしてきます。ですから、決断は一度だけとは限りません。
衰弱死を止められないと医師が判断した段階で最初の最終決断を迫られる
と考えてください。
延命治療をした場合の問題点
延命治療をする場合の問題は、一度始めたら途中でやめるのが極めて困難
だということです。延命治療の苦痛を見守るしかない家族の後悔は日ごとに大きくなっていく場合が多いのですが、
延命治療の中断には大きな責任を伴うので医師は消極的
です。
延命治療をしなかった場合の問題点
決断した家族が、
延命治療の拒否が本当に正解だったのかの自問自答を繰り返す
ことです。本人の意思を充分承知しているつもりでも、自問自答を繰り返している家族は多いです。私も一生自問自答していると思います。
延命治療の決断では、あなたの死生観が問われています。延命治療とは何か、人生とは何か、生きるとは何か、あなたもそろそろ自分の答えを準備しておくとき
ではないでしょうか。
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