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世論調査で、ようやく反対が50%を超えるようになった特定秘密保護法案ですが、

国と国民の安全を確保するために必要

という総論だけで、与党は採決を急ぐと思います。なぜなら

国は多くの情報を国民から隠し続けて今日に至っているのですが、ここにきて合法化する必要に迫られている

からです。

情報公開が制度化される以前、国の情報は原則秘密の運用

でした。世論の圧力に負けて情報公開法が制定されると、公正で民主的な行政の推進という目的を運用であっさり骨抜きにし、情報公開法をザル法にしてしまいました。具体的には、

秘密情報は公文書仕様にしないことで公開対象から外すというやり方

です。例えば、職務命令で公文書を作成する場合、上司の指示命令内容を担当者はメモることが多いのですが、そこに記された上司の本音は公文書に記せない場合が多々あります。公文書は建前の文書で、組織としての本音は常に担当者のメモに記されているというわけです。また、会議では議事録として公文書が作成されるのが常ですが、発言内容は建前だけが記録され、本音はオフレコで発言するのが常識です。ここでも、本音は会議参加者のメモにだけ記されています。しかしながら、これらのメモは法的には公文書扱いされていません。「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」第2条第2項の「行政文書」(=公文書)の定義である「職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」に職員のメモは該当しないと解釈されているからです。
 したがって、現行の運用でも秘密情報が公開請求されることはありませんし、仮に請求できたとしても「該当する行政文書(=公文書)はありません」と門前払いできるので、国の公文書の情報統制は完璧といえます。

それでも特定秘密保護法が必要だとする国の本音は

メモなどに記された秘密情報での内部告発や情報漏えいの根絶

だけでなく、

得意の運用で秘密が組織内で拡散しない仕組み、つまり命令する側の本音を明かすことなく不特定多数の担当職員を自由自在に使う

ためです。こうなると、警察職員など現場の行政職員は、従来なら非合法な行為に合法理由の説明も無いまま加担させられる羽目になりますが、義憤に駆られて内部告発をしようにも情報がありませんし、国民が騒いだとしても命令した側には特定秘密保護法という伝家の宝刀があるので短期間で沈静化できるメリットがあります。

気にすることなく違法行為を実行し、違法行為を合法化できる説明が見つかるまでは永久に公開しないという仕組みも大歓迎

でしょう。スパイ活動への対応には機敏な組織が必要ですので納得はできますが、

隠せない行動や結果に合わせて隠せた真実を都合よく後々再構築できる点が最大の欠点

です。将来公開する文書を同時進行で作成させ、利害関係の無い第三者機関が国民に代わり適法性を確認し、最初の期限である5年後には原則公開することを義務付け、公開を先送りする場合には新たにその必要性を先の第三者機関が確認する仕組みがなければ、

尾行、盗聴、盗撮、通話記録や預金通帳記録の収集などであなたの人権が合法的に侵害される時代がやってくる

のは確実です。

国と国民の安全を確保する機能を権力者が己の不都合を隠すためにも利用できる

、それが特定秘密保護法案最大の欠点といわれていますが、私は、あの第二次世界大戦以前の日本や現在の中国のように

国が都合のいい真実を創造し、世論を自在に形成する機能を持つ

ことが最大の欠点だと思います。私たちはこの機能を国に与えようとしているのです。是非、ご再考ください。

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